2021.08.13 Friday
大曲家の墓地 中津良地区 史跡ガイドブック
新型コロナ感染拡大も大変なことですが、雨雲が広範囲にわたって停滞する事態も大変なことで、私にとって初めての経験といってもいいほどです。佐世保や五島も雨量がすごいと何度もニュースになっている。大きな災害にならなければいいけど。
石造物研究家の大石一久氏が著し、中津良地区まちづくり運営協議会が編集している、「中津良地区 史跡ガイドブック」が届きました。さらっと目を通したんですが知らないことばかりで面白い。
そのなかに「大曲家の墓地」という記載がありますので紹介します。
大曲家といえば、寛永年間に大曲藤内が書いた「大曲記」で有名ですが、その2代ぐらい後の大曲宗慶のお墓(右画像)が上中津良町の山中にあります。大曲宗慶は、大曲家の中興の祖といわれ、「御先祖様年忌覚」(大曲家文書)によれば元禄元年(1688)11月11日に亡くなっています。墓石は宝珠付き笠塔婆で、極端にむくりが入った笠や台形状の基礎などの形態から1600年代後半頃の石塔と考えられますので、宗慶の逝去年にほぼ一致します。
この時期の大曲家は上中津良に居を構えていたと思われますが、宗慶の2代ほど前の先祖にあたるのが「大曲記」を書いた藤内です。であれば、あの有名な「大曲記」は上中津良時代に書かれたのかもしれませんね。
なお、大曲家のお墓は下中津良にもあります。これは、大曲家が上中津良から下中津良に居を移した後のお墓です。下中津良の大曲家墓所は元文元年(1736)の墓塔から始まっていますので、宗慶の次の代からは下中津良
に居を移したように思われます。また、下中津良時代の屋敷は江戸時代末にできた「下方街道園會」にも「大曲家」として描かれており、その屋敷跡を地元では「お屋敷」と呼んで語り継いでいます。